父の相続、「とりあえず母の名義に・・・」は危険です!
相続の相談は大きく分けて3種類あります。
1つ目は将来起こる相続に対しての準備。
2つ目は、相続が発生していて、分け方や手続きなどをどうしようかと、家族が”仲良く”悩んでいる。
最後の3つ目は相続が発生していて、家族間で揉めていることがあります。
今回は、何度か目にしている3つ目(家族間で揉めている)で、さらに悪化しているケースをご紹介します。
遺族の家族構成はお母さんと複数の子ども
夫婦に子どもが二人、または三人以上の家族のお父さまが亡くなった場合です。
お父さまは遺言書などの準備もしていなくて亡くなった場合に、子どもの一人が突然、「父の財産は私が継ぐ」と言い出したりすることがあります。
今は法律で、法定相続分など、法定相続人にそれぞれ財産を継ぐ権利があるのですが、昔ながらの風習の中で育っていると
「家の財産は全て長男(長女)が継承するものだ」
と思っている人も少なくありません。
それに対して、その他の兄弟は、今風の法定相続の権利権利があることを知っていながら、
「まあ、両親の面倒をみている長男(長女)には少し多めに財産を譲って、ある程度は財産分けをしてもらう・・・」
と思っている、なんとなく人情的にもわかる心理だと思います。
普段の平穏な暮らしをしていると、そんな素振りも見えないのですが、
いざ相続が発生した場合に長男が、
「父の財産は全て俺のもの!」と言い出すと、
混乱の元となってしまいます。
とりあえず母の名義に・・・の理由は?
そんなこんなで、家族で話し合いになるのですが、
「とりあえず、すべての採算を母の名義にしておこう」
という結論になることが容易に想像ができます。
理由は2つです。
一つ目は、相続税がかからない、またはかなり低くなるからです。
配偶者の税額軽減という規定があり、配偶者は法定相続分または、1億6,000万円までの相続に対して税金がかからないようになっています。
なので、相続財産の相続税評価額が1億6,000万円以内であれば、相続税を支払う必要がなくなります。
二つ目は、母親の前で揉めたくない、母親が揉めてほしくないと思っているからです。
血の繋がっている子ども同士の揉めているのを見たくない、見せたくないというのは人としての心情だと思います。
「税金もかからないし、とりあえず揉め事も収束させたい」
そんな気持ちで「とりあえず父の財産は母の名義に・・・」と考えてしまうことは仕方のないことなのかもしれません。
しかし、安易にこの方法を取ってしまうと後々問題が悪化することもあります。
母の財産を勝手に・・・
一旦揉めたことですから、誰かがこんな事を考えてもおかしくありません。
「母の相続の前に自分が有利になるようにしておこう!」
揉めてしまって、万が一裁判などになった場合、最終的には法定相続分で分け合うことになります。
そうなる前に、自分が有利になるようにしておうこうと思って、行動をする人がいてもおかしくありません。
例えば、
母親が生きている間に、母親の財産を自分の名義に変えてしまう
自分に有利な遺言書を母親に書いてもらう
などが考えられるでしょう。
一旦このようなことが起きると悪質な場合は、法的に無効にすることもできる可能性はありますが、かなりハードルが高く、問題を悪化させてトラブルを大きくしてしまう可能性があります。
父親の相続の時にきちんと分割を!
一旦だれかが、声を荒げてしまうとその問題をないものにしたり、完全に円満に解決するのは難しいことですが、このような場合は「母の相続の時に」と問題を後送りにせず、父親の相続の時に問題を一旦解決しておくことがベターな選択肢だと思います。
法定相続分ででも分割をしてしまえば、父親の相続の時に得た財産は母親の相続の時には守られている状態になります。
父親の相続の時に「問題を後送りにしたい」と思って母親に全てを相続してもらうと、前述のようなことで、得ることができた財産も手にすることが出来なくなってしまう可能性が出てきます。
「問題を後送りにしない」ことはとても大事です。
父親の相続の前にきちんと対策をすることがベスト
相続に限らず、揉め事が発生してから対応するより、揉め事が発生しないように対策することが一番よい結果となります。
特に家族間の場合、親子の関係性は親の方が強くなります。特に男親の意思などは強いものです。
父親が生前のうちに、父親地震からどのように分けてたいのかを家族に伝えてもらっておく、出来ることであれば、遺言書などにしてもらって法的にも有効にしてもらうことが大事だと思います。
「生前に亡くなった後のことなどは言いにくい」
と思ってしまうかもしれませんが、放置してしまうことで家族が揉めてしまうよりしっかりと考えてもらった方が将来の家族のためになります。