2017年に相続税の基礎控除額が下がったために、
これまでより多くの人に相続税がかかるようになりました。
当時は私のところにもメディアが来て、「相続増税について、
コメントをください」などということでテレビに出演させて
もらったこともあります(苦笑)。
最近はよく、
「相続税対策のために保険に加入したい、した方がいいのか?」
というようなご相談もあります。
不動産(土地)を持っている人の場合などは、「相続税対策のために
アパートを建てましょう」と建設会社から提案があるような人も居ますが、
まずは相続税を支払う必要があるのか?支払うとしたらいくらくらいになるのか?
何か見落としているところはないか?などを確認してから対策を考えることが大事です。
相続税がかからない人も当然、居ます。
相続税は両親などが亡くなって、亡くなった人の財産を引き継いだ人に対して、
相続税が課せられます。
しかし、引き継いだ財産が生活に必要であろう範囲については、税金は掛けず、
ある一定の金額以上になった資産に対して相続税が掛かるようになっています。
相続税が掛からない部分の事を「基礎控除」と言いますが、この金額は法定相続人の
数によって異なり、次のような計算式で決められます。
基礎控除額 = 3,000万円 +600万円×法定相続人の人数
例えば、夫婦と子ども2人の夫が亡くなった場合は法定相続人は3人となり、
基礎控除額は4,800万円になります。
例のように、夫婦と子どもだけだと、法定相続人の数はイメージしやすいですが、
例えば子どもがいない場合は両親が、子どもも両親も居ない場合は兄弟姉妹が
法定相続人になるなど、自分や家族の場合はどうなるのか確認してみましょう。
コチラのサイトのイラストが分かりやすいので、法定相続人の数がわからない時は
こちらを参考にしてもらってもいいかと思います。
基礎控除以外にも相続税が掛からない部分がある!?
ご相談の際に、基礎控除の金額をお伝えすると、2つの反応があります。
一つは、「じゃあ、うちは相続税の心配はないですね」という反応と、
「え、じゃあ、どれくらいの税金がかかるのだろう・・・」という反応です。
基礎控除を超過した場合の税率は、さらに課税される部分の資産の総額によって
税率が変わってくるのですが、その前にさらに税金がかからない部分(控除)の
対象がないか確認する必要があります。
前述した通り、「遺族の生活に必要な資産」に関しては税金を考慮してくれる
仕組みになっています。
その仕組みとなる特例や税額控除には下記のものがあります。
・配偶者控除
・小規模宅地等の特例
・未成年者控除
・障害者控除
・相次相続控除
この中でも大きいものは、「配偶者控除」「小規模宅地等の特例」ではないかと思います。
・配偶者控除:配偶者(夫or妻)が亡くなって、妻(夫)がその相続財産を受取った場合、
相続財産の半分(法定相続分)または1億6,000万円までは相続税の対象にならなくなります。
やはり、夫婦の場合、亡くなった人の財産を作るのに貢献した、という意味合いや、
一人になってからの生活を考えた場合の生活のことを考えて大きな控除を受けることが
できるようになっています。極端な話、相続財産が1億円あっても妻(夫)が引き継げば
相続税はかからないという事になります。ただ、妻(夫)が亡くなった時の相続税は
当然かかるので、配偶者控除を使う時は、次の相続も考える必要があります。
・小規模宅地等の特例:面積や用途など、一定の条件を満たした居住用(自宅やアパート)や
事業で使っていた不動産を相続する場合、その相続税評価額を最大で80%まで減額することがで
きる制度です。
例えば、自宅が3,000万円の価値があったしても、相続税を計算するときの金額は600万円で計算
することになります。たとえば、子ども2人が法定相続人で自宅3000万円、現金2,000万円
(合計5,000万円)の場合、基礎控除は4,200万円となり、800万円に対して相続税が課税されますが、
この特例を使えば自宅600万円+現金2,000万円(合計2,600万円)で相続税を計算することになり、
基礎控除4,200万円におさまることから、相続税はかからないことになります。
ただし、これらの特例や控除を使う場合は相続税が掛からない場合でも相続税の申告は必要に
なりますので、注意しましょう。
人生の中で相続について何度も考えることはないので、どうしても知識が不足してしまい、
不安になってしまうかもしれません。
不安だからといって、たまたま知った情報に飛びつくのではなく、そんな時はやみくもに
不安にならず、専門家に相談をし、サポートを受けてましょう。
結果として、無駄なお金を使わなくて済むことにもなるでしょう。