おひとりさまの老後設計~住まい編~
「生涯未婚率」という言葉があります。
実際に、一生独身だった人の率ではないのですが、
ある程度の目安にはなる数字と言えます。
この生涯未婚率の数値が近年高まっていて、
1995年男性が9.0%、女性が5.1%だったのに対して、
2015年の調査では、男性23.4%、女性14.1%となっています。
これに離婚をした人も含めるとより多くの方が老後を独身で
スタートすることが想像されます。
夫婦で老後生活がスタートするのに比べると独身の方が一世帯で
考えると一般的に年金額は少なくなります。
また、介護など人の手を借りなくてはいけなくなった場合に独身の方が
金銭的な負担は大きくなる可能性があります。
このようなことから独身、いわゆる「おひとりさま」の老後のための
準備はよりしっかりとする必要があると考えています。
実際わたしも独身ですので、他人ごとではありません(苦笑)
おひとりさまのFP相談でよくある質問
独身の人が相談にお越しになられて、サポートがスタートした場合、
ライフプランシミュレーションを行う場合に比較したいと思われるのが、
マイホームを購入するかしないかを決めたいというケースがほとんどです。
両親の元を離れて一人暮らしをしている人は、既に賃貸で家賃を払っているので、
「家賃を払い続けるのは勿体ないのではないか?
」「今からローンを組めば老後をスタートするときには家賃やローンが
いらなくなるから楽にくらせるのでは?」
などといったことをイメージしているようです。
では、例えば、30代、40代の人にとってこの考え方は本当に良い事なのでしょうか?
マイホーム購入のデメリットも考えよう
マイホームを購入することによって年金生活になってからも家賃を払い続けなくて
よいという事は、老後の支出を減らすことになるので悪いことではありませんが、
メリットの反面であるデメリットにも目を向けてみましょう。
デメリットとしては次のようなことが考えられます。
老後がスタートした時に古くなっている:30代、40代でたとえ新築のマイホームを
購入したとしても、老後をスタートさせるときには築20~30年が経過していることになります。
そこから老後の生活期間20年から長くなれば40年ほどにもなる期間をその物件で過ごす
ことになります。設備も旧型になってしまいます。
維持費が高くなる可能性がある:特にマンションの場合、一般的に築年数を重ねて行くと
管理費や修繕積立金の額が大きくなってきます。一戸建てだとしても、壁や屋根の修繕
のためのお金が必要になってきます。ローンの支払いがなうなったとしても、
メンテナンスのための費用は必要になってくる可能性があります。
また、現役世代の時に住みたい地域と老後に住みたい地域は違う可能性があります。
現役時代は、忙しいので、都心で駅チカの便利なところに住みたいと思っていても、
老後は翠が多く騒がしくないところに住みたいと持っているかもしれません。
みなさんが考えるように賃貸には「家賃がもったいない」というデメリットはありますが、
ライフスタイルや収入によって住む場所、住む物件を簡単に変えることが出来るのは賃貸の
メリットになるでしょう。
自分自身の資産にも目を向けよう
また、自分自身だけではなく、両親などの親族の資産なども考慮して住まい方を考えましょう。
例えば、両親が自宅を持っていて、あなたが一人っ子だったらどうでしょうか?
両親が他界した後の自宅をどうするのか?も考える必要があります。場合によっては、
両親の他界後、実家を改築、リフォームして住むことが出来るかもしれません。
また、マイホームを購入する際の資金として、実家の売却を考慮することによって、
あなた自身の負担を減らすことが出来るかもしれません。
将来のライフプランには様々な選択肢があります。
一人で考えていたり、ネット検索で探していても同じような考え方ばかりに行きついてしまったり、
極端のな考え方に感化されてしまったりすることや、メリットばかりに目が行ってしまい、
デメリットが見えない場合もあります。
ファイナンシャルプランナーにライフプランをベースに一緒に考えることによって、
さまざまな選択肢が見えてきて、自分らしい住まい方計画を作ってもらえたらと思います。